自覚しにくい糖尿病の
初期症状を知ろう
糖尿病の症状
糖尿病とは、血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気のことで、大きくわけて1型と2型の2つのタイプがあります。
-
1型糖尿病自分の膵臓の細胞に攻撃してしまう異常抗体などによって、膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンを分泌できなくなってしまう病気です。
のどが渇く、頻尿、急激な体重減少、疲れがひどいなどの症状があります。 -
2型糖尿病遺伝的に糖尿病になりやすい人が、肥満や運動不足、ストレスなどの生活習慣病をきっかけに発病します。
疲労感、皮膚が乾燥して痒い、手足の感覚が低下する、感染症によくかかる、頻尿、目がかすむ、空腹感やのどの渇きがひどくなるなどの症状があります。
糖尿病は、
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
- 糖尿病神経障害
と言われる、三大合併症を引き起こす危険性があり、重症化すると失明、手足の切断、人工透析など日常生活にきわめて大きな支障をきたす状態にも陥る可能性があります。
最近ではそれらの三大合併症に加えて、心筋梗塞や狭心症といった心血管障害や脳卒中といった脳血管障害を引き起こすことも分かってきています。
原因
糖尿病は、血糖値を降下させる作用のあるインスリンの分泌量が低下したり、働きが悪くなったりすることにより発症します。
インスリンの分泌量や働きに異常が生じるのは、高脂肪・高カロリー・食物繊維不足などの食生活や、運動不足、ストレス、睡眠不足、喫煙習慣、アルコールの過剰摂取などの生活習慣の乱れが原因です。これらにより引き起こされる糖尿病を「2型糖尿病」とよび、全糖尿病患者の9割以上を占めます。
そのほか、1型糖尿病や、妊娠をきっかけに発症する糖尿病、膵炎・膵がんなど膵臓の病気で発症する糖尿病などもあります。
検査方法
糖尿病の検査には次のようなものがあります。
-
血液検査
血液検査では、血糖値や過去1~2か月の血糖値の状態を反映するHbA1c値を調べるほか、インスリンの分泌能力などを評価します。
-
経口ブドウ糖負荷試験
早朝の空腹時に一定量の糖分が含まれた飲料を摂取し、摂取前後の血糖値の変化を調べる検査です。糖尿病を発症すると空腹時の血糖値が高くなったり、摂取後の血糖値の下がりが悪くなったりするといった特徴的な結果がみられるため、糖尿病の確定診断に用いられます。
-
合併症の有無を調べる検査
糖尿病が疑われるときや糖尿病と診断された場合は、網膜の状態を調べる眼底検査、腎機能検査、腱反射、動脈硬化の程度を調べる検査などが必要に応じておこなわれます。
治療方法
糖尿病と診断された場合は次のような治療がおこなわれます。
-
1
生活指導「食事療法」「運動療法」
生活習慣の乱れが発症に大きく関与している2型糖尿病では、原因となる食生活や運動習慣の乱れを正す「生活指導」がおこなわれます。大きくわけて「食事療法」と「運動療法」があり、これらにより症状の改善を目指します。
食事療法は、炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素をバランスよく取ることや、ビタミン、ミネラルなどを欠かさず摂ることが大切です。
運動療法では、ウォーキングや自転車、スイミング、ジョギングなどの有酸素運動を1回20~40分、週に3回実施することが求められます。
基本的には、1~2か月ほど生活改善をしたうえで、薬物療法など次のステップの治療に進むかどうかを判断するのが一般的です。 -
2
インスリン以外の薬物療法
生活改善などで十分な効果が上がらない場合は、血糖値を下げる薬による薬物療法がおこなわれます。
糖尿病の薬には数種類あり、個々の病態に応じた薬を使い分けをします。 -
3
インスリン治療
- 薬物療法でも十分な効果が出ない2型糖尿病
- インスリンの分泌量が大幅に低下している1型糖尿病
- 胎児への影響により血糖値を下げる薬が服用できない妊娠糖尿病
- 大きな外科手術前後
では、人工的にインスリンを補う「インスリン治療」がおこなわれます。
インスリンは自己注射によって投与することになり、さらに治療のほかに厳密な食事管理が必要です。
生活習慣病をくわしく知りたい方へ
肝臓疾患をはじめとする生活習慣病全般に関する解説は下記をご覧ください。