よくわかる肝臓疾患
肝臓のはたらき
肝臓には体を正常に機能させるために大きな3つの役割があります。
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1.身体に必要なタンパクの合成・栄養の貯蔵
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2.有害物質の解毒・分解
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3.食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌
食べたものは、胃や腸で吸収されやすい形に変えられ、肝臓へ送られます。
肝臓の役割は、吸収・分解されやすい形に変えられた食べ物をさらに栄養成分に分解し、身体に吸収できるようにすることです。
さまざまな栄養成分に分解されたあとは、動脈をとおりそれぞれ必要な場所に配られ吸収されます。
その際に発生した老廃物は、静脈をとおり肝臓へ戻され、一部は再び吸収され再利用されますが、
不要なものは胆汁内へと排泄・処理されます。
このように肝臓は、栄養素の生産、リサイクルの中心的役割を担う臓器です。
肝臓疾患全般の解説
肝臓の病気は、ある程度進行しないと症状があらわれないのが特徴です。症状が出た時には肝臓の病状がかなり進行していることも多いです。
痛みも発生せず、自覚症状があらわれにくいことからもその発見は非常に困難です。そのため、ご自身で定期的に健康診断nなどをとおして肝臓の働きをチェックする必要があります。また、すでに健康診断などで肝機能異常を指摘された方は、何が原因かをきちんと調べて、病気を進行させない生活をすることが大切です。
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肝臓病の特徴(肝炎・アルコール性肝障害・脂肪肝・肝がん)
肝炎は肝臓が炎症を起こすことで肝細胞が壊れてしまう病気です。
肝炎になる原因は
- 肝炎ウイルスの感染
- アルコールの過剰摂取
- 肥満
- 自己免疫性
などさまざまな原因があります。肝炎がつづいている期間によっても、「急性肝炎」と「慢性肝炎」にわけられ、急性肝炎は6ヶ月以内に落ち着きますが、それ以上長い期間継続する場合は慢性肝炎に分類されます。
肝がんは、健康な肝臓にできることは非常に稀で、多くの場合は慢性肝炎や肝硬変といった炎症や線維化のある肝臓に発生する病気です。自覚症状があらわれることはほとんどなく、早い段階で気づくことが難しいため発見には定期的な検査が欠かせません。
治療方法
肝炎は肝臓の細胞が破壊されている状態です。
肝臓を守る対症療法と根本治療があります。
対症療法には肝庇護剤の投与やプラセンタ療法等があります。
根本治療は原因によって治療方法は異なります。
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1
B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルスに対しては、ウイルスの増殖抑制剤である核酸アナログ製剤を服用します。
ほとんど副作用はありませんが、継続して服用しないといけません。継続して服用することで肝機能の改善・ウイルス量の低下、さらには発がん予防にもなります。ただ、服用を始めれば勝手に中断しないようにして下さい。
ウイルスの増殖抑制剤ですので、服用を中断するとウイルス量が増加し、肝機能が悪化する危険性があります。
C型肝炎ウイルスに対しては、直接作用型抗ウイルス剤(DAA製剤)を8~12週間服用します。ほとんど副作用がなく、約95%の確率でC型肝炎ウイルスは消滅します。C型肝炎ウイルスが消失することで肝機能の改善・発がん予防につながります。
以前は両ウイルスに対してはインターフェロン治療が行われていましたが、最近はほとんど行われていません。 -
2
アルコール性
アルコール摂取量を減らすに限ります。肝硬変まで進んでしまっている場合は禁酒が必要になってきます。
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3
肥満
脂肪肝になっていることが多く、生活習慣の改善が必要です。摂取するカロリー量を抑え、運動をすることで体重を減らすようにします。
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4
自己免疫性
自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎(肝硬変)があり、各々に応じて薬を使い分けします。
生活習慣病をくわしく知りたい方へ
肝臓疾患をはじめとする生活習慣病全般に関する解説は下記をご覧ください。